June 01, 2014

ネットで買わないもの。


 用事を済ませた帰りに、通りがかりにウィンドウを見て入ったショップ。しばらく服を眺めていると、店員さんが声をかけてきた。
 「お客さんが今履いてらっしゃるハーフパンツ、うちのブランドでかなり前に売っていたやつですよね?僕もそれ好きだったんですよ。」

 正直、いつどこで買ったかなんて忘れていたものだったんだけど、そういえばあの時、あのシャツと一緒に買ったのかもしれない。同じブランドのショップにふらっと入ってしまうとは、好みのテイストってあまり変わらないものなんですね。

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 ネットでなくてリアル店舗で、それも量販店ではない専門店で買う、ということのプレミアムはこういう体験にあるんだと思う。スペックのはっきりしたものを出来るだけ安く買うならネットがいい。マイナーで見つけるのが難しいものはネットで探して買うのが簡単だ。でも、中にはその商品だけでなく、その商品にまつわる体験も含めた全体にお金を払う商品もある。リアル店舗の空間と体験にはネットにはないプレミアムがある。

 店員が「うちのブランドのかなり前のものですよね。」と話してくれる。ただそれだけなんだけど、そこに物語が広がる。買うのなら、ネットで買うよりもリアル店舗で、それも専門店で買いたいものは、ある。それがネットで買うより少々高くても。

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 ・・・という感覚に共感してくれるのは、ある程度より上の世代の人たちなんでしょうね。「若者の◯◯離れ」と言われている「若者」さんたちには通じない感覚のような気もします。